第2回 張本勲とイチローの比較(2001.6.1)

 イチローは5月31日現在においても打率3割5分台というハイアベレージを維持しているが、そのイチローが昨年までの9年間に日本で残してきた成績ついて考えてみる。また、改めてその凄さについて認識するために、あの安打製造機と言われた張本勲以外の名バッターたちとも比較してみることにする。

 下の表は張本とイチローが入団以来9年間の打撃成績で、更にその下の図は9年間の通算安打数をグラフにしたものである。
 見てのとおり、安打数にはそれほど差がない(奇しくも8年目終了時点での安打数が同じ!)のに、打率はイチローが大きくリードしている。張本は1年目からレギュラーの座をつかみ徐々に通算打率を上げているのに対し、イチローは3年目に突如現れてそのまま高い水準で打率を維持している。このペースで行けば、張本の3085安打の日本記録の更新も十分期待できただけに、イチローの海外流出はちょっと残念な気もする。

 それでは次にイチローが日本で残した通算打率.353という数字がいかに傑出していたかを見ていこう。


  張本勲の入団から9年間の成績                        イチローの入団から9年間の成績






 下の表をご覧いただきたい。左の表は通算打率15傑(4000打数以上)、右の表は主なバッターの4000打数前後における打率である。

●まずは左の表から。通算打率の対象がなぜ4000打数以上なのかはわからないから置いておくとして、ここに挙げた15人は今更説明する必要のないほどの大打者である。もしイチローがあと1年日本にいれば4000打数に到達するのは確実で、仮に400打数120安打(打率3割)の成績でも通算では0.348となり、それだけでも十分に他を圧倒する。ただ、長年にわたってプレーすると晩年はどうしても打力や脚力が衰えてしまい、打率の低下は避けられなくなる。実際、1位のリーは11年間の最後の1年だけが不振だったために打率の低下はそれほどでもないが、ほとんどの選手が引退前の数年で打率を下げている。

●そこで右の表。こちらは4000打数に近い時点(いずれもシーズン終了後)での打率である。一応1位から10位まで順位がついているが、大雑把な調査だったため、漏れがあることをご了承いただきたい。やはりここに記した上位10人は引退までに打率を下げており、ここから挽回した張本や王には敬服するばかりである。

やはりここでも群を抜いているのがイチローで、落合を2分5厘ほど離している。惜しいのは元横浜のローズで、70打数ほど足りておらず、リーの記録を抜くことはあり得ただけに退団は悔やまれる。トレード期限は6月いっぱいまでだから復帰の目がないわけではないが・・・。

何はともあれ今はイチローのアメリカでの活躍を祈るばかりである。

      


プロ野球記録回顧部屋に戻る