第7回 『右』の強打者の宿命 (2003.3.3)
強打者と巧打者との違いを大まかに定義すると、
・強打者
→思いっきり振り回す
→打球が強い(速い)
→野手の正面にゴロが飛んだ場合は併殺打になりやすい
・巧打者
→振り回さずコツコツ当てにくる
→打球が弱い(遅い)
→野手の正面にゴロが飛んでも併殺打になりにくい
ということが言えると思う。
つまり右のホームランバッターにとって本塁打と併殺打は隣り合わせということなのである。
そこで下の表を見ていただきたい。これは通算併殺打のランキング(20位まで)である。1位の野村克也から現役の古田敦也まで有名どころが並んでいる。ただし、純粋に数字だけを羅列して論議しても実働期間や打数などで不公平が生じるので「併殺打率」も併記した。
その結果、ここにランキングされた選手の特徴として、
・実働期間が長い(実績がある)
・右の強打者が多い
ことが挙げられる。
まず1つ目の「実働期間が長い」について。これは当然といえば当然。選手生活が長いからこその記録であるので決して恥じることではない。
続いて2つ目の「右のホームランバッターが多い」についてだが、これは今まで当ページで述べたことを立証していると言えるだろう。20人中、7位タイの駒田徳広(巨人〜横浜)以外は全員右打者である。それに通算本塁打数も多い。
併殺打率では1位が野村なのはまあわかる(本塁打も右打者で最多だし足も遅かった)として、2位が左打者の駒田がというのが面白い。足は決して速くなかったが、他に左打者がランキングされていないことを考えると多すぎである。
こうしてみると、衣笠祥雄と山本浩二のカープコンビが本塁打数の割に併殺打率が低いのは足の速さも大きいのだろう。
※山本は536本で231盗塁、衣笠は506本で266盗塁
ここで参考のために、通算打率の上位(4000打数以上)に登場する左打者の併殺打数と併殺打率も載せたのでご覧いただきたい。
谷沢健一(中日)の率がやや高いものの、他はほぼ1%台後半である。特に加藤英司(阪急・広島・近鉄・巨人・南海)の1.35%は通算本塁打が347本であることを考えるとかなり低いと言える。
以上、5〜7回にわたって併殺打に関して左打者と右打者との違いを述べてきたが、ここまではっきりとした結果を得られたことについて充分に満足している。今後も何かおもしろいデータがあったらいろいろと分析していきたいと思う。